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診療室便り Vol.20



Vol.20 土用と脾・胃@

季節の合間「土用」にはたらく「脾・胃」についてのお話です

「脾・胃」はたべることと直結したはたらきをしています
まずは西洋医学からみた「脾・胃」の役割を考えましょう

東洋医学で位置づける「脾」の役割は
西洋医学では膵臓、脾臓、小腸のはたらき全般を指します
ここでは膵臓についてご紹介します

<膵臓>
 消化器系に分類され、右側で十二指腸につながります
 膵臓での大切な役割は
 小腸で栄養素を消化吸収するための消化酵素、血糖値に関与するホルモンを分泌することです
 特に脂肪に対する消化酵素(リパーゼ)は、膵臓でしか分泌されません
 そのため、脂肪分の多い食事は膵臓に大きな負担をかけることになります
 また、血糖値を下げるインスリン、上げるグルカゴンは
 生命活動を維持するために大切なホルモンです
 血糖値を上げるホルモンは、グルカゴン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど数多く存在しますが
 血糖値を下げるホルモンは、唯一膵臓から分泌されるインスリンだけとなります
 ひとは歴史上、飢餓状態にある期間が長く
 血糖値を上げて食べ物を得るため活動的になることが必要でした
 そのため、血糖値上昇ホルモンが数多く存在しています
 一方、いつでもなんでもいくらでも食べることができる現代は
 むしろ血糖値を下げることが必須となって
 インスリンを分泌する膵臓に多大な負担をかけています

消化酵素の分泌、胃腸のはたらきは
副交感神経、つまりリラックスした状態で促進されます
仕事をしながら、イライラしながら食事をすると
いくら質のよい食事をしていても、充分にその栄養をからだに取り込むことができません
また、ゆっくり噛むことで唾液に含まれる消化酵素(プチアリン)がでんぷん質を糖に変え
甘みを感じて満足感を得ることができます

昔から伝えられている「ゆっくり、ありがたく食事をしましょう」とは
こういったからだのはたらきからも説明することができます

2015.7.7