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診療室便り Vol.27



Vol.27 2016/3月報

今月のレッスンは春にはたらく「肝・胆」でした
西洋医学では肝は毒素、薬物、アルコールなどを分解する臓器とされ
春は秋冬にためこんだ様々なものを出すデトックスの季節となります

私事になりますが、3月にインフルエンザに感染しました
38.5度を超える高熱が5日続き、ピーク時には40度目前まで上昇
ありとあらゆるものが排毒され、からだの中がカラッポになるという体験をしました

その間様々な療法、お手当を試しましたのでここに記しておきたいと思います

<西洋医学>
・解熱剤:インフルエンザと判明する前1回服用
・タミフル:発症2日後にインフルエンザ感染が判明、1日半(3錠)服用
<東洋医学>
・鍼:百会(頭頂部)に鍼
    熱下げ
   上背部(肩甲骨の間)に鍼
    鍼先でチクチクする(散鍼) 熱下げ、邪気を追い出すの手法
   指先に鍼
    爪の際にあるつぼに強めの鍼をし出血させる(刺絡) 熱下げの手法
   皮内鍼(貼っておく鍼)
    肝、腎、脾、肺の水を主るつぼへ貼り、消耗した陰を補う
・漢方薬:麻黄湯
      発汗解表剤 発汗を促しからだに入った邪気を追い出す処方
<その他>
・ホメオパシー:高熱、悪寒、吐き気、関節痛などに対応するレメディ数種
・自然のお手当:第一大根湯 高熱時に服用、発汗を促し解熱させる
        葛湯 関節痛、解熱
・アロマテラピー:ユーカリ 抗ウイルス、免疫強化、解熱(熱冷ましの木)
              寝室にディフューザーを置く

今回、西洋医学の薬を数年ぶりに服用しました
まず解熱剤ですが、服用直後に37度台まで下がるものの再び39度まで上昇しました
発熱は免疫がウイルスと戦っているために起こる事なので
解熱剤を取ることで免疫を抑えてしまう事になり、かえって症状を長引かせてしまう結果になりました
そしてタミフル剤
これまで様々な声を聞いてきた薬剤ですが、今回は敢えて服用し実体験してみました
服用直後に吐き気が起き、その後も胸焼け、胃酸が逆流する感覚が続き
1日半(3錠)服用した時点で、熱よりそれらの症状の方が辛くなったので中止しました
西洋医学の薬自体、数年ぶりなのに
そこへいきなりタミフルという強い薬を服用することは、からだにとって負担が大きかったようです

そして特に効果を実感できたのが鍼でした
特に高熱時に百会への鍼は解熱剤と同じように首元からスーッと熱が引く感覚があり
その後数時間からだが楽になりました
また、高熱が続くと体内の「陰」が熱によって奪われ
空咳、寝汗、便秘、のぼせ感などが残りやすく
陰と同時に「気」も消耗し、倦怠感、だるさ、いつもまでもすっきり治らないなど
元気が足りない状態になりやすいので
それらに対するケアに気・陰を補う皮内鍼を肝、腎、脾、肺、胃経のつぼへ貼りました
ホメオパシーのレメディはいつも身近に置いておき
次々と現れる症状にすぐ対応ができ、特に高熱時の精神安定に効果を感じました

結局、最後は邪気と戦う自分自身のエネルギーを信じるほかなく
様々な療法はその手助けをしているに過ぎないのだと、実感できました
と同時に、経験したことのない高熱が数日間続くと不安に襲われ
自分の力を信じきる難しさも感じました

解熱後は五臓六腑がカラッポ、といった状態で
消耗した体力が回復しきるまでは少し時間が必要でしたが
不思議と気持ちは晴れ晴れとして、内から力が生まれ満ちてくる感覚があります
これは鍼、漢方、ホメオパシー、自然のお手当のおかげであると、確信しています


医療従事者なのにインフルエンザに感染するなんて…と最初は思いましたが
これも今の自分に必要な経験だったのかな、と感じています


※セッションご予約の延期をお願し、ご迷惑をおかけしましたことお詫び申し上げます

2016.4.1