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9月の診療室

診療室便り Vol.33



Vol.33 2016/9月報

今月は鍼灸師になるまでの経緯を記そうと思います

短大卒業後、地方公務員になり7年間事務仕事をしていました
残業が多く目先の忙しさに追われる毎日
職場の人間関係にも悩んでいた時期もあり
今振り返っても20代前半はこれまでの中で一番苦しい時期でした

仕事のストレスを発散するために飲みにいったりカラオケに通ったり
その瞬間は憂さ晴らしが出来てもすぐに虚しさに襲われ
なんの為に生きているのかわからずまるで生ける屍のよう
いつ抜けるか解らない暗く長いトンネルを歩いているような感覚がずっとありました
(山下清・裸の大将の主題歌の歌詞は嘘だと思っていたのだから、かなり参っていました笑)

なぜ公務員になったのかというと、ただ他にやりたい仕事がなかったから
給料安定、休日や福利厚生がしっかりしている公務員なら
余暇を利用して趣味に打ち込めると思ったのです
でも、どうしても、割り切れない思いを拭うことができず
それでもいつか慣れるだろうとじっと我慢していましたが、いつまでたっても慣れないまま
人生のほとんどの時間を仕事と通勤時間に費やす中で
その仕事を適当に選んでしまった自分はこれでいいのだろうか
もっと他に生きる道があるんじゃないだろうかと、日々悶々としていました

当時は肩こり、頭痛、生理痛、胃腸の不調、身体のだるさなど体の不調も満載で
鎮痛剤や整腸剤は欠かせず
睡眠障害もあり常にどこかが調子が悪くそれが当たり前

本当に暗黒時代の20代前半を過ごしていました

26歳の時、奈良のとあるお店のことが雑誌で紹介されていました
それはこれまで見たことがない雰囲気のお店
インテリアや生活道具に関心があった私には目の前がパーッと明るくなるような出会いでした
何度も足を運び、オーナーさんとも話をする機会にも恵まれ
次第にこの店で働きたいという思いが押さえきれなくなりました
自分の思いを確認するため、家族の説得のために1年待ち27歳で公務員を退職
念願かないその店で働くことができました

接客、販売、企画、事務…
あらゆる仕事を経験するなかで
テーブルに飾る花一輪まで心を配り、いかにお客様に心地よく過ごして頂くか
おもてなしのこころを学んだ2年間でした
この店で働きたいと願い出た私を
公務員を辞めるのはもったいないからよく考えなさいと
親身になって話を聞いてくださったオーナー夫妻にはずっと感謝しています

鍼灸師として独立し今年で4年目
最初のころはただ無我夢中でやってきましたが
近頃はようやく気持ちが落ち着いて、これまでのことを振り返ってみようという思いになりました
私的なことをわざわざ文章に記すのもどうかと迷いましたが
こうして書くことで自分の中が整理されていきますし
ダメな自分から目を逸らさず、頑張った自分をほめてあげることも大事かなと
こうしてこの場をお借りしています

鍼灸師になるのはまだまだ、これから10年先
続きはまた次の機会に…

2016.9.29